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2015年01月10日 (土) | Edit |
この女 / 森 絵都



大阪・釜ヶ崎。日雇い労働で生活する貧しい青年・ 礼司は金持ちの妻の人生を小説に書けば三百万円もらえるという怪しげなバイトを引き受ける。だが彼女が語る過去は辻褄の合わないデタラメばかり…。

森さんの今までの小説とは、雰囲気がまるで違います。
こんなお話も書いていたんだと正直驚きました。作風の幅広さと力量を実感する作品でした。題名からは予想できないストーリーで読み応えがありました。
物語の途中や、読み終わってからも、プロローグを何回も読んでしまいました。

なぜ、二谷結子は過去を語らないのか?
そもそも、なぜホテルチェーンのオーナー・二谷啓太はこんな依頼をするのか?
そして、小説も書ける優秀で若い礼司が、なぜ釜ヶ崎で日雇い労働者として働いているのか?
大輔は家に戻らず、一体何をしているのか?
色々な謎が気になり、次々とページを捲ってしまいます。

「あいりん地区」という名称は、ニュースや新聞などでよく見聞きしますが、これまであまり理解していませんでした。
その独特な場所を舞台に選んだ森さんは素晴らしい作家です。
釜ヶ崎で働かざるを得なかった礼司の再生の物語でした。
とても良い作品でした。