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2016年01月21日 (木) | Edit |
羊と鋼の森 / 宮下奈都



ピアノの調律に魅せられた一人の青年。 彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた小説。

とても宮下さんらしい作品です。
最初、題名を見て難しそうな物語なのかと思いましたが、優しい語りにすぐに引き込まれました。
真っ直ぐな外村くんの存在は、読んでいて清々しい気持ちになります。
双子の女の子や、職場の人たちもいいですね。
外村くんがコツコツ、真面目に取り組む様子がいいです。
心が洗われるような素晴らしい作品でした。


2015年06月10日 (水) | Edit |
終わらない歌 / 宮下奈都



よろこびの歌の続編です。
高校2年生の頃から、3年後を描いた連作短編集です。
高校を卒業し、2Bの生徒だったみんなは、それぞれの道を歩んでいます。
ミュージカル女優をめざしている千夏のエネルギー溢れる様子は、若々しくて眩しいくらいです。
読み終わる頃、THE BLUE HEARTSの「終わらない歌」が頭の中をグルグル回り始めました。
登場人物がみんな優しくて、清々しく、心が洗われるような作品でした。


夢は遠い。希望は儚い。どんなに手を伸ばしてもつかめないかもしれない。
夢も希望も、挫折や絶望のすぐそばにある。
それでも希望を持たないわけにはいかない。夢に向かわずにはいられない。


2015年05月30日 (土) | Edit |
よろこびの歌 / 宮下奈都



御木元玲は著名なヴァイオリニストを母に持ち、声楽を志していたが、受かると思い込んでいた音大附属高校の受験に失敗、新設女子校の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せずにいた。

御木元玲とクラスメイトたちの連作短編集です。
中高生の合唱を聴くのが好きです。声がきれいでのびのびしていて、心が洗われるような気持ちになり、なんだか泣けてきます。

玲も好きですが、何事も自然に頑張れる千夏も印象的でした。
思い通りにいかなかったり、コンプレックスに悩んだり、それぞれみんな悩みがあるのですが、それでも前へ進んでいきます。
清々しく眩しい青春小説です。


目指すのは何かといわれれば……よく生きること

2015年05月24日 (日) | Edit |
神さまたちの遊ぶ庭 / 宮下奈都



北海道を愛する夫の希望で、福井からトムラウシに移り住んだ宮下家五人。そこは「神々の遊ぶ庭」と呼ばれる大自然に抱かれた土地。宮下家の一年間の暮らしが綴られたエッセイ集。

エッセイ集とは知らずに、読み始めました。
トムラウシに住むのかぁ~面白そうな物語だなぁと思いながら読んでいたのですが、「宮下漆黒の翼」の箇所で、爆笑しながら宮下さんのエッセイだと気付きました。
すごく楽しいです。笑ってしまう箇所が多々あります。
宮下さんて、すごくユーモアのある人でもあったんだなと益々好きになりました。

こんな素敵な土地に住めたなんて羨ましいです。
そして子供たちがかわいいです。宮下さんの愛情いっぱいの気持ちも自然に伝わってきます。
貴重な一年間の暮らしの中に、大事なことがたくさん描かれていて、迷ったり悩んだりした気持ちも苦しいほど伝わりました。
そして、大変そうなことも、楽しい出来事にしてしまう宮下さんがとてもいいなぁと思いました。
どんなことも、自分の気持ちの受け取り方次第なんだと改めて感じました。

素晴らしいエッセイ集です(´▽`)


2015年05月07日 (木) | Edit |
窓の向こうのガーシュウィン / 宮下奈都



佐古は未熟児として生まれ、ばらばらの父母のもと、いつも「自分には何かが足りない」と感じ、人とうまく話すことができなくて、息をひそめてどうにか十九年やってきた。そんな佐古が、介護ヘルパー先の横江先生の家で額装の仕事を手伝うようになる。

最初の方で、読むのを挫折しかけましたが、隼が登場してから楽に読み進められました。
人の言葉をうまく聞き取れないというのは大変です。
私は何年か前に突発性難聴になり、人とのコミュニケーションが取りづらくなったことがあります。何回も聞き返せないし、積極的に会話にも参加しにくくなりました。病院で、薬を処方してもらい良くなりましたが、会話もテレビの音も聞き取れないし、色々と苦労したことを思い出しました。
佐古は横江先生の家では、耳が澄んで、ちゃんと聞き取ることができます。
自分に合った額装という仕事を手伝い始め、自分をそのまま受け入れてくれる人たちに出会い、ゆっくり変わっていきます。
宮下さんらしい作品だと思いました。