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2014年05月02日 (金) | Edit |
てふてふ荘へようこそ / 乾ルカ



敷金・礼金なし、保証人も要らず、2Kの間取りで家賃はわずか13000円。その上、最初の一か月は家賃無料の、おんぼろアパート「てふてふ荘」。
なぜ、そんなに条件がいいのか……それは、それなりの事情が…。

全体的にほのぼのとした雰囲気ですが、切ないお話でもあります。
一号室から六号室まであり、順番に住人と幽霊たちが主役になります。
単純にはならない工夫もされていて、スイスイと読めます。

一番気に入ったのは、三号室の詐欺の前科者・長久保と、地縛霊・売れないタレントだった石黒のお話です。
石黒が、自分の良心を殺そうとしていた長久保に言った言葉が好きです。
仕事が辛いのは、当たり前。だからお金には価値がある。
私は昆布になったことを恥じてなんかいない。むしろ誇りに思ってる。
本気でやってる努力なら、報われなくても、馬鹿馬鹿しいなんてことは絶対ない。
二年頑張れたら三年頑張れるって、どうして思えないの?
(かなり省略しています)
最後に死ぬ時も、ずっと報われなかった石黒の言葉なので説得力があります。
そして、就職が決まらない長久保は、資格を取るために勉強を始めます。
努力して、報われた結末が好きです。

人はこんなに、あっけなく死んでしまう。そして、人それぞれ、色々な理由で死んでいく。
思い残すことも、人それぞれで…。
この物語は、住居人たちが、幽霊と関わることで成長し、変わっていきます。
読み終えた後は、切ないですが、スッキリとした気持ちになりました。