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2017年07月09日 (日) | Edit |
花桃実桃 / 中島京子



43歳シングル女子、まさかの転機に直面―会社勤めを辞め、茜は大家になった。父の遺産を受け継いだのである。昭和の香り漂うアパート「花桃館」で、へんてこな住人に面くらう日々が始まって…。

かわいい題名ですね。
全体的にほのぼのとしたお話でした。ノスタルジックな雰囲気漂いまくりです。
茜が個性的な住人たちと馴染んでいく様子が描かれています。
このお話に出てくる幽霊は違和感を感じず、自然に読めました。
尾木くんとは今後どうなるのかなぁ。2人とものんびりしてるから、なかなか進展はしなさそうですが…(^▽^;)


2015年07月05日 (日) | Edit |
平成大家族 / 中島京子



30代のひきこもり息子と90歳過ぎの姑と4人で静かに暮らす緋田夫婦。ある日突然、破産した長女一家と離婚した次女が戻ってきて、四世代8人の大所帯に!

家族が順番に語っていく、短編連作集です。
それぞれ、どんなことを思って、どんなことを考えているのか分かって面白いです。読みやすく、ぐいぐい引き込まれます。
破産、離婚、シングルマザー、引きこもり、認知症……問題は山積みですが、大らかで明るいです。
逸子の中学生の息子・さとるのクラスメート達は意地悪で後味が悪かったですが…。
30代で引きこもりの長男・克郎に春が訪れたことが、とても嬉しいです。
克郎をゆっくりと見守ってくれるカヤノさんが素晴らしい。
読後感がとても良く、楽しい作品でした。


2015年06月14日 (日) | Edit |
小さいおうち / 中島京子



昭和5年、タキは親類の伝手で山形から東京へ上京し、小中家の女中となる。約1年後、14歳の時に小中氏の妻の紹介で、平井家に奉公に上がり、優しい時子奥様に仕えることに喜びを覚える。

住み込みの女中として働いていたタキが、回想しながらノートに綴っていきます。
そのノートを読む甥っ子・健史とのやり取りが交互に繰り返され物語は進んでいき、とても読みやすいです。
戦前をしらない健史との、やり取りも面白いです。

知らないことばかりで、とても新鮮でした。
昭和初期の東京の中流家庭の暮らしぶりが丁寧に描かれています。
林真理子さんの「本を読む女」もそうでしたが、私がこれまで抱いていた戦前のイメージとは違い、豊かで明るく穏やかな雰囲気だったのですね。
戦争がなければ、昭和15年に東京オリンピックも、万国博覧会も開催される予定で、好景気で楽しく浮かれたような日本の雰囲気に驚きました。
その頃に東京府と東京市がいっしょになって東京都になったことも知りませんでした。

ゆっくり少しずつ太平洋戦争に巻き込まれてゆく庶民の日常がリアルに描かれています。
常に日本軍優勢が報道され、庶民はそれを信じています。
その報道が本当ではなかったことを知るのは、もう少し後です。

タキの平井家に対する健気さと気遣い、献身には脱帽します。
何よりも大切な人、大切な家が、空襲で失われてしまった所で、タキはもうノートに綴ることが出来なくなります。
戦争は大切なモノを何もかも奪い、壊してしまう……それが事実です。

旦那様、明るくて綺麗な奥様・時子、恭一坊ちゃま、板倉青年、タキ……人間模様にも引き込まれました。

本当に素晴らしい作品です。
装丁もとてもステキでした。