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2015年06月07日 (日) | Edit |
クラスメイツ〈後期〉 / 森 絵都



一クラス24人の連作短編集なので、後ろの語り手が、前の子の伏線をさりげなく拾っていき、その後どうなったのか分かるようになっている所が面白いです。
どの子も実在してそうでで印象的です。
思ってることや、考えてることはバラバラだけど、みんなそれぞれが真剣で…。
不登校だった田町が合唱コンクールをきっかけに、ゆっくりとクラスに戻っていけたことが嬉しいです。
最後の解散パーティーも、みんなの出し物…面白いものもありますが、地味だったり、しらけたり、ダラけたりと…うん、うん、実際こんなんですよね。本当っぽくてで良かったです。
みんないい子ばかりでしたね。
担任の藤田先生がやっぱり素敵でした。


2015年05月23日 (土) | Edit |
クラスメイツ〈前期〉/ 森 絵都



北見第二中学校・1年A組、24人のクラスメイトたちそれぞれを主人公にした連作短編集。1年間を通して変化していく関係や思いを描く、前期・後期の全2巻。

自分が中学生のときに、この本に出会えていたら良かったのになぁ~。
十人十色、それぞれの個性があって、それぞれ思うことは様々で、それでいいんだ!って思えます。
時々、登場する担任の先生も好きです。

椰月美智子さんの「市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日」を思い出しました。
椰月さんの方は一日でしたが、こちらは一年です。
豊島ミホさんの「初恋素描帖」も中学2年生×20人の連作短編集でしたね。
こういう連作短編集は大好きです。

面白くて読みやすくて、あっという間に読み終えました。
後期も楽しみです(´▽`)


2015年05月14日 (木) | Edit |
屋久島ジュウソウ / 森 絵都



皆で縄文杉を見に行こうと楽しいグループ旅行のつもりで訪れた屋久島。そのハードさにはまだ気づかずに…。にぎやか取材旅行記と、忘れがたい旅の思い出を綴った14編が収録された旅エッセイ集。

屋久島の旅行記と小説すばるに掲載された「slight sight‐seeing」が収録されています。
読みやすくて、面白かったです。

屋久島縦走コースでは、引率するK原さんの前日の緊張感や、普段運転しないT田さんが不安を隠しながら運転する男気。旅行で、しかもレンタカーで運転するのは、緊張するし、知らない道だし、普段乗せない人を乗せるし、本当に気疲れします。
E口さんの梅干しショックや、池田さんの虫嫌いなど、メンバーの様子も細かく描かれていて楽しいです。

後半の旅エッセイは海外旅行です。
モロッコの少年ガイド・ハッサン、パリのホテルの従業員・ローラの思いがけないプレゼントなど印象的なお話が多いです。
この本を読むと、どこか旅に出かけたくなります(´▽`)

ラストの森さんの言葉が心に残りました。


この人の心に非国際的な差別意識が巣くっていたとしても、それは私の問題じゃない。
彼自身が克服するなり来世への課題として持ちこすなりすればいい話であり、私がへこむなんておかどちがいもいいところだ。

人類が国境の概念を脱ぎ捨てるにはまだまだまだまだ時間がかかりそうだが、都会であれ田舎であれ、自分が今、踏みしめている土地は絶対に誰のものでもない。


2015年01月10日 (土) | Edit |
この女 / 森 絵都



大阪・釜ヶ崎。日雇い労働で生活する貧しい青年・ 礼司は金持ちの妻の人生を小説に書けば三百万円もらえるという怪しげなバイトを引き受ける。だが彼女が語る過去は辻褄の合わないデタラメばかり…。

森さんの今までの小説とは、雰囲気がまるで違います。
こんなお話も書いていたんだと正直驚きました。作風の幅広さと力量を実感する作品でした。題名からは予想できないストーリーで読み応えがありました。
物語の途中や、読み終わってからも、プロローグを何回も読んでしまいました。

なぜ、二谷結子は過去を語らないのか?
そもそも、なぜホテルチェーンのオーナー・二谷啓太はこんな依頼をするのか?
そして、小説も書ける優秀で若い礼司が、なぜ釜ヶ崎で日雇い労働者として働いているのか?
大輔は家に戻らず、一体何をしているのか?
色々な謎が気になり、次々とページを捲ってしまいます。

「あいりん地区」という名称は、ニュースや新聞などでよく見聞きしますが、これまであまり理解していませんでした。
その独特な場所を舞台に選んだ森さんは素晴らしい作家です。
釜ヶ崎で働かざるを得なかった礼司の再生の物語でした。
とても良い作品でした。